絵を置いてくの

「描いたはいいけれど、誰にみられるでもなく朽ちていく」そんな絵たちをここに置いていきます。

終わりと始まり

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“始まり”はあっさりとしているのに

“終わり”はいつもあっけない

“終わらないようにする”事に全てを注ぐのに

“終わり”はそんな私たちの事を気にも留めない

それが、怖い

儚くて、脆くて、でも愛しくて

何よりもっと嫌なのは

“終わり”を目の前にして、それでも抗おうとする時の感覚

大切なもの、大切な人、大切なすべてが次第に霞んでいく

それに抗おうとする時の感覚

身のうちがちぎれる様な

頭の一部がぽっかり無くなってしまったかの様な

脈を打つ心臓がのたうち回る様な

そんな感覚たちが、本当に嫌いだ

だから私は、”始まり”を出来るだけ遠ざけるようになった

“始まり”が無ければ”終わり”は来ない

"終わり"が無いならば、抗わなくたっていい

そうすれば、傷付くこともない、誰も

 

そんなに都合良くはいかないでしょう?

ああ、その通りだ、知っているとも、だから嫌なんだ

"始まり"も"終わり"と同じく、そんな私達の事を気に留めることはない

だから、"始まり"はいつも不意に、"終わり"を引き連れてやってくる

きっとそういう質なんだ、"終わり"も"始まり"も

そのせいで、私達はいつも彷徨っている

"始まった"愛しいものを追い続けて

"終わりゆく"愛しいものを逃さないために

すでに"終わってしまった"愛しいものを

これから"始まる"愛しいものを

どうにか、どうにかしたくて

 

そんな事を考えながら描いた

「終わりと始まり」

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