絵を置いてくの

「描いたはいいけれど、誰にみられるでもなく朽ちていく」そんな絵たちをここに置いていきます。

2021-01-01から1年間の記事一覧

繭の内から眺む

こんなに冬って寒かっただろうか 悴んだ両手をさすってみて初めて気づく ニットのマフラーと手袋が欲しいな 冬を越すための、あたたかいものが欲しい そうだ、少し想像してみよう 自分で拵えてみるとして まずは作り方から調べてみる そして、材料を手芸店で…

境など無いというのに

醜いアヒルの子の定理

一条はやがて無情に

絶対に欲しい、絶対に成し遂げたい いわゆる”本懐”を書き出した 真っ白のスケッチブックにたった数文字 あらゆる無駄を削ぎ落とした一条 その毅然とした態度に何度も惚れた そして、一つの疑問が生まれた 「であれば、残りの余白は何なのか」 「その大部分を…

終わりと始まり

“始まり”はあっさりとしているのに “終わり”はいつもあっけない “終わらないようにする”事に全てを注ぐのに “終わり”はそんな私たちの事を気にも留めない それが、怖い 儚くて、脆くて、でも愛しくて 何よりもっと嫌なのは “終わり”を目の前にして、それでも…

エリカ

エリカ エリカ 光をくれよ いつだってそう、時間は待ってくれない 流れに乗れず、取り残され続けた 別に負い目を感じているわけじゃない ただ、決して拭いきれない焦燥感があるだけ ひとりよがりの絵と言葉はそのあらわれ そしていつも計り違う、世界との距…

毒沼と花畑

ひとりよがりな毒沼と、諦め切れない花畑 二つで一つ

私だけのケプラー1649c

ここは私の故郷じゃない 息をするには狭すぎる 旅立つための動機としては 十分なほどに確かなものだ 時が満ちれば潮が寄せ あとはそのまま攫われるだけ 潮汐力に任せていれば どこまでだっていけるはず 行けば行くほど人は減り 後には虚空が聳え立つ そんな…

繋いで離して交差して

契りよ、間隙を縫ってくれないか

それが、それだけが欲しい もっと、もっと知りたい 手を少し伸ばせば届くほどに近いのに 自分に課した契約の所為で 手を伸ばせない、伸ばせない 人を思ってか、自分のためか 何のための契約だったのか 今となってはわからない あるいは、ただの逃げ腰なのか…

体躯は小さくても

忙しない足取りの滴 緑地に吹き溜まる迷図は 翠雨の感傷にこそ咲く 水面に複写された表情 異端を拒絶する波紋は 放牧された哀愁にさえ乱れない 儚い弔いの沈黙 亡霊のような香煙は 久遠の後悔にこそ立ち昇る 顕現 顕現 顕現 恒星の如く叡智で飾る

昼寝はここに

格好をつけて着飾ろうとも、居心地が悪かったら脱いでしまう 僕はそんな人間だ いっそのこと最初から、肌着で話せれば、どんなに楽だろうか 微睡の中でふと、そんなことを考えた 日差しが暖かい

双眸に宿すは瀟洒

一人称が定まらない 私か僕か君なのか 度々変わるは仮面の色彩 正義と狂気の媒介者 手段をたくさん持ち合わせ 自由自在に変化する どれもが中間 相応しい 抱いた憧憬 届かない 次元の違いが憎たらしい 惚れるほどには瀟洒なり 焦がれるほどには流麗か 彼女に…

少しだけのセロトニン

今思えば、今思えばだが、自分のことすら全くわからないのに、もっとわからない他人のことを本当に好きになるなんて出来っこなかった。 それなのに、”人の事を嫌いになってもいい”なんて知らなかった。 時が過ぎるほどには色々費やしてきたおかげか、少しは…

憩いの場所に住む悪魔

“I”で括れば意地が悪い まさに今の心持ち 強烈な自意識 月並みでない 今はまさに暁 時は移ろい やがて訪れる紺碧 白日のもとに 遮る光 脳裏は霞がかり 自分以外は背景 よだつトラウマ蘇り 底をつく美意識 熱烈なアイデンティティ 人並みの熱意 持ち合わせる…

初めて目にした文明

今日も賽は投げられた 窓辺に揺蕩う瑠璃の斜光 幽けき夢の終わりが近づく 鼻腔に漂よう海の芳香 断り拒否の始まり告げる 陰鬱差し出す晴天に あらゆるあらすじ書き留める 逆光差し込む瞳には 信号無視の急ぎ足 静止を知らない三兄弟 朝昼夜を繰り返す 安息求…

塵芥となるのはいつも

大切なもの、大切な人 忘れたくないもの、忘れたくない人の事 伝えたい事、でも伝えられない心 今の今まで大事にしていた宝物たちが 急にどうでもいいゴミになる そんな瞬間に何度も立ち会ってきた 何かをずっとおもい続ける事 それはとても、とても疲れるこ…

人に弱さを見せる

知ってしまえば無視できない 理想に嘘はつけないから 今まで何とも思っていなかったこの地が こんなにも寒い場所だったなんて あの理想が、人との繋がりが あんなにも暖かい場所だったなんて 僕には暖かすぎたから、眩しすぎたから 断ち切るしかなかった、他…

雲上に咲く

即興で紡いだアクセサリー 開ければ光るアコヤガイ 大した意味などないけれど 言いたい事ならあったから アナグラム 星をつなぐ 日付にだって意味がある 奇跡と呼ぶには瑣末だが 気づいてしまえば無視できない カタルシス 夜空に縋る 全てにきっと意味がある…

雨開の花

グラデーション 魚の模様 パステルピンクは反旗の象徴 歪んだ水槽 見ている僕ら ガラスに映った虚像を覗く 消え去る太陽 雨に降られよう 黒い海月とピンクの海月 陸地を往ったが 住処は海洋 地に伏す影は静かに尾行 咲き燃える空は虹模様 休符に差し込む親和…

あおあざ、煩い

ずっと前から探していたのは 身の丈にあったロマンチシズム ずっと前に失ったのは 手に持つ花火に咲く心 少し前まで探していたのは 等しく行き着く終着点 少し前に失ったのは 対岸に渡る小さな切符 今まさに探しているのは 青痣さえもが誇りになる地 今まさ…

のっぺりとした夢、吐いた真珠

眠れなかった昨夜 片耳が海の中 血管の間と間に刻まれた 痛み 痛み 耳鼻咽喉科 にて子供たちのはしゃぎ声 響く うるさいと思ってはいけないと抗う 診察室からの泣き声 煽る 他の子達の不安感 宥める母親 子を抱く父親 絵本を開く その両手に私が忘れたものが…

鎖自慢の海底都市

まさに泡沫 見えざる裏方 露ほども触れられない姿 海月は”地平”を見たがるが 生憎陸には上がれない 一眼でいいから目に留めたいと ただひたすらに繰り返し 脳裏に景色は焼きついた 溢れんばかりの逆光は 大海原とはまた違う 何者でもない雄大さ 何故求めるの…

のっぺりとした夢、不均衡な現実

夏前 梅雨の訪れる土手に佇む 伝えなくて良い事実 知らなくて良い真実 どこからどこまでをみるべきか 立ち並ぶビル群は悲しみに溢れていて 鉄筋コンクリートは笑いに飢えている それにも関わらず報せは熟れている あれやこれやと何にでも どこでも答えが落ち…

情熱による麻痺

時速1キロの歩幅が反復し 移ろう景色が未だ絶えずとも 歩み続ける熱情はやがて果てる がらんどうの心が哀咽を叫び 久遠に対して別れを告げようとするも 敢え無い美学が一瞬を繋ぎ止める いつかの青臭い少年の生けた花が ついには色褪せ枯れようとも 取り残さ…

無秩序に果実

怪人の忘れ物

荒天に隠した秘密

水溜りの道路 見渡す限りの黒雲が叫ぶので 眼を見まいと傘をさします すると前方が見えません 忙しない足音 無意識下の表現欲が滲むので 独りよがりの詩を創作します すると人の声が聞こえません 何気ない配慮 鞄の中の手帳が濡れるので タオルで包み覆い隠…

方舟の行方

盛者必衰の理の如く 恒星でさえもいずれは朽ち果てる その周りを廻り続ける無尽蔵なる動力と その内に息づく小さな小さな肉の箱からは 等しく恒久的な発熱が検知される それらに巣食う力の根源が これまた等しく世界の一部なれば どこか遠くへ向かうべきだ …

風に歪む、家に帰る

何色か 何色か 帳に毎日問い続け やっとの思いで触れれた鱗 そこに私の心はあった 刺々しいのは護るため 毒々しいのも護るため 惑いの最中で答えを求める 解など無いと知りながら 夢想は儚い 露と消えるか

風船と蝋燭とグラニテ

毒毒しい鼓動が激しく呼応 止まらない緊張に捧ぐ孤高 痛みを知っている からこその 必要とされたい 愛されたい 後ろめたくも感じる希望 恋慕によく似た虚が宿借り 勝手をふるった心は奔走 迫る佳境と過ぎる今日 例え 偽りと呼ばれても なし崩しのまま人は為…