2021-10-12 飢餓と胡蝶 一日は夜から始まる 暁が不安で仕方がないから 十年後の未来ばかりを想像してしまう 隣に座るかもしれない悪夢が怖いから そうして過ぎゆく夜の片鱗を看取る 今日をやり過ごしたと安心したいから 一夜限りの切符を毎夜切り続ける やっとの思いでありつけた今さえ陽射しに消えゆくから 気がつけば微睡みに落ちている 体だけは束の間の安寧を欲しているから それでも昨夜覗いた夢の事は忘れている 黄昏までやり過ごさなければならないから 一日は夜から始まる