初めて目にした文明
今日も賽は投げられた
窓辺に揺蕩う瑠璃の斜光
幽けき夢の終わりが近づく
鼻腔に漂よう海の芳香
断り拒否の始まり告げる
陰鬱差し出す晴天に
あらゆるあらすじ書き留める
逆光差し込む瞳には
信号無視の急ぎ足
静止を知らない三兄弟
朝昼夜を繰り返す
安息求める私には
黄色い一瞬相応しい
今日も賽は投げられた
塵芥となるのはいつも
大切なもの、大切な人
忘れたくないもの、忘れたくない人の事
伝えたい事、でも伝えられない心
今の今まで大事にしていた宝物たちが
急にどうでもいいゴミになる
そんな瞬間に何度も立ち会ってきた
何かをずっとおもい続ける事
それはとても、とても疲れることだった
重すぎて、多すぎて、優しすぎるから
それが私にとっては辛すぎたから
きっと目を逸らしたのだろう
何度も、何度も何度も
そして今日も、何度目かはもうわからないが
一つの大事なものがゴミになろうとしている
この感覚が本当に、本当に嫌だから
全力をもってして抗ってきたけれど
もう無理そうだ、私はもう疲れたよ
何度も、何度も何度も
何かをずっとおもい続ける事
それはとても苦しくて辛い事なんだ
だから、せめてここに残そうと思う
“私は確かにおもった”という記録だけは
“いつかまた、いつか”という期待と共に
人に弱さを見せる
知ってしまえば無視できない
理想に嘘はつけないから
今まで何とも思っていなかったこの地が
こんなにも寒い場所だったなんて
あの理想が、人との繋がりが
あんなにも暖かい場所だったなんて
僕には暖かすぎたから、眩しすぎたから
断ち切るしかなかった、他に道などなかった
なのに、なのに結局またここに戻ってきて
数年の時を経て、始まりに帰ってきて
それでも寂しいなんて、苦しいなんて
誰にも言えない弱虫だから
弱さを見せられない何よりの弱虫だから
“望んだように生きれないなら死んでんのと同じだ”
でも、もうその理想を諦めてしまえば
また時が経ってこの極寒に慣れてしまえば
こんなに苦しむことなんてないのかもしれない
それなのに、それなのに
理想に嘘はつけないから、諦めきれないから
闘い続けるしかないんだ
これが僕の選んだ唯一なんだ
あおあざ、煩い
ずっと前から探していたのは
身の丈にあったロマンチシズム
ずっと前に失ったのは
手に持つ花火に咲く心
少し前まで探していたのは
等しく行き着く終着点
少し前に失ったのは
対岸に渡る小さな切符
今まさに探しているのは
青痣さえもが誇りになる地
今まさに失ったのは
大切だった痛みの一部
のっぺりとした夢、吐いた真珠
眠れなかった昨夜 片耳が海の中
血管の間と間に刻まれた 痛み 痛み
耳鼻咽喉科 にて子供たちのはしゃぎ声
響く うるさいと思ってはいけないと抗う
診察室からの泣き声
煽る 他の子達の不安感
宥める母親 子を抱く父親
絵本を開く その両手に私が忘れたものがみえる