2021-10-12 海底に住む 消灯された浴室に水滴の音が響く 水底に沈む痩せこけた裸体に より少し大人びたと感心する 室外からの明かりが微かに照らす 水面に浮かぶ痩せこけた顔面に もう少し喰らえと悪態をつく 点灯されない浴室に幽霊が浮かぶ 憤怒の切っ先は何処にも向ける事が出来ず 溜まりきった熱情が体外に漏れ出す 冷めきった湯船を捲し立てるように 立ち上る湯気を覆い尽くすように 浴室の気温が静かに静かに上昇する 俯瞰的視点の私は 正体不明の自己理解へと帰結するために 肥大していく記憶を遠泳する